ROOMMANIA #203 正しく美しい誰も真似の出来ないメディアミックス

読んでから見るか、見てから読むか

森村誠一の「人間の証明」映画公開時に角川が国民に向けて煽ったキャッチコピーである。

映画と小説をどちらから取るかをまくし立てた国内では先駆となる、大規模メディアミックス作品として今もなおその戦略は語られる。

月日は流れ、メディアミックスとなるといつの間にか、ライトノベル-アニメ-ゲームの軸が定番と化してしまい、本来、メディアミックスされるべき骨の太い作品がほとんど見当たらなくなってしまった。

ROOMMANIA#203(ルーマニア203)は、セガの音楽チーム、ウェーブマスター当時所属のササキトモコが、ササキトモコにしかできない枠で作り上げたメディアミックス。

ゲームはワンルームで生活する主人公に、テレビ見たら? などのように、○○したら? という意識を送り行動させていくマルチシナリオストーリーもの。

シナリオはテレビ系の脚本チームからなる体制を作り、ワンシチュエーションドラマとしてどのシナリオもゲームとはいえないぐらい抜群に面白い。

その主人公が好みでゲーム中で音楽をかけるシーンが都度あり、そのアーティストが架空のアーティスト、セラニポージ。

実際にレコード会社からデビューを果たしたこのアーティストは端的にいえば、CDリリースというここまでを含めたある意味「ササキトモコの自作自演」である。

聞いてから遊ぶか、遊んでから聞くか。

ゲームとCDのリンクという誰も真似が出来ない、一人メディアミックスをやってのけたアーティストに畏怖せざるをえない。

ササキトモコはその後フリーとなり、メイドインワリオでおなじみの「アシュリーのテーマ」、きみのためならしねる、ココロスキャンなど、誰もが知っているあのゲームメロディーはササキトモコ作品。

トモコさん、あの鼻ピコキャッチはどうしたでせうね。

ROOMMANIA#203
DC 2000年1月27日発売
セガ
PS2でリメイク版が2002年、2003年には続編が発売
当時の人気テレビ番組を模したかのようなテロップ演出や予告演出はゲームらしくない映像表現を作り出した。
アーティストのセラニポージはレコード会社やボーカルの遷移もありつつも細々と不定期にレコードが発売されている。

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